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2017年9月定例会建設委員会 

まちづくり

歩いて楽しめるまちづくり

◆百瀬智之 委員: おはようございます。本日もよろしくお願いします。前回ですけれども、立地適正化計画に絡めて空き家、あるいは公営住宅等々についてお話しさせていただきました。今回も空き家とか公営住宅に触れつつも、前回はやや現実的な観点からお話しさせていただいたんですけれども、今回、ややぶっ飛んだ観点でいろいろとお聞きしていきたいと思っております。
 まず早速、資料に沿って聞いていこうと思っております。この空き家に関してなんですけれども、幾つか出てきたと思っています。資料15の新たな住宅セーフティネットについてですが、きのう、おとといも話に上っていたかと思います。住宅確保要配慮者の話でありますけれども、この件で平成28年から居住支援協議会でしたか、というのが長野県でも立ち上がっているというお話で、私、これも知らなかったんですけれども、まず、これどういう組織なのかというのを、もう少し詳しくお聞きしたいなと思っています。
 この住宅確保要配慮者に対する法律案の資料等々を見ていると、KPIで、これに市町村も参画していこうというような方向になっていて、これどういった仕組みで市町村がかかわっていくかということもあわせて、御説明いただけるとありがたいかなと思っています。

◎岩田隆広 建築技監兼建築住宅課長: まず長野県の居住支援協議会の関係でございますけれども、この協議会につきましては、御説明したとおり、平成28年の3月に設立しております。この法律が目指しておりますように、住宅確保要配慮者への住宅支援ということで関係団体が集まってということで、現在の組織でいきますと長野県宅地建物取引業協会、宅建に関する協会が4団体、それから県の内部は建設部、健康福祉部等で組織したものでございます。
 今回、法律の改正の中で、具体的な入居を促進するという制度が立ち上がりましたけれども、当時はまだ、こういうことを促進しようという法律でしたので、そこの協議をした程度で、まだ具体的、実質的な協議は、この協議会の中では行われていないという状況でございました。
 それからもう一点、市町村の参画というところでございます。資料15に記載したとおりに、これについては、制度の一番上のところに賃貸住宅の登録のところの3にありますように都道府県、さらには市町村促進計画を策定して、地方公共団体としてこの住宅の提供ができるという立場でございますので、県も市町村も同じ立場で、この制度の導入が可能ということになっております。

◆百瀬智之 委員: そうすると、この協議会というのは、およそ都道府県ごとに一つずつあって、市町村も任意で参加できるというようなイメージでいいんですか。

◎岩田隆広 建築技監兼建築住宅課長: 支援協議会につきましては都道府県でも組織できますし、市町村でも組織できるということになっています。今回の具体的な制度の導入が、先ほど申しましたように都道府県でもできますし、市町村も導入が可能になっております。市町村が導入する際には、それぞれの市町村ごとに支援協議会の設置が望ましいと考えております。

◆百瀬智之 委員: わかりました。それぞれ市町村でもできるということですけれども、県の協議会と、また市町村の協議会というのもあれば、またこの連絡というのも、またどうなるかなと思うわけですけれども、これからということですので、いずれにしてもしっかりやっていただきたいかなと思っています。
 もう一点、空き家の関係であったのが資料6の不動産特定共同事業法についてです。これも、私も不動産特定共同事業法というのは一体何なのかということで調べたところ、今、全国的に空き家がふえているという中で、出資者を募って、それで空き店舗等々リノベーションして賃貸するというのには、この不動産特定共同事業というものに引っかかってくると。昨今は、その資金調達の方法として、どうもクラウドファンディングというものがにわかに盛んになってきていると。ここ5年間で約5倍から6倍にふえ、そうやって出資を募ることができるようになっているんで、この方法をより法律面からも手当てしようということで今回の法律改正もあるんではないかというような話が、調べたところそういう記事があったわけですけど、そういった背景でいいんですかねということで、お願いしたいと思います。

◎岩田隆広 建築技監兼建築住宅課長: 今、お話がありましたように、クラウドファンディングですか、これによりまして資金調達を、従来よりも円滑にできるというような法令の改正も同時期に行われているところでございます。

◆百瀬智之 委員: 同時期というのは、それを主眼としたというわけではないということですかね。

◎岩田隆広 建築技監兼建築住宅課長: 法律の改正には、幾つか項目がございますけれども、今回の改正では、今まで参入がなかなか厳しかった、資本金の額も1億円というような大きなハードルを、これからは全国的な規模ではなくて各都道府県、地域でもこういう活用が進むようにということで、資本金の額を1,000万円まで引き下げたというところが、主な改正と把握しております。

◆百瀬智之 委員: この法律ですね、業界の方は大変興味を持っていらっしゃる方もいらっしゃって、私もたまたま、ことしの春にある建築会社さんへ行って、この法律改正されそうだと。その方は、これから空き家を活用してこういったまちづくりとか、エリアをこうしていきたいんだという情熱を比較的お持ちの建築会社さんだったものですから、話を聞いて、あっ、そうなんだなと私が教えてもらったぐらいなんですけれども、そういう意欲あるプレイヤーというのは、これから地元でも多々あらわれてきてくれるんじゃないかなと、私は期待しています。
 それに際しては、今、空き家というのが一体どこにあって、所有者は一体誰で、リフォームとか手を入れるに際しては、どういう希望をお持ちかとか、そういった情報をしっかりとどこかでゲットできるような環境整備も、やっていただきたいと思うんですけれども。
 そういった、今、空き家一般に関して、どういったこの情報整備になっているかというあたり、教えていただけるとありがたいと思います。

◎岩田隆広 建築技監兼建築住宅課長: 空き家の情報提供の関係でございますけれども、今、都道府県で行っているのは、県でも空き家バンクということで、ホームページで県内の各市町村ごとの空き家の状況も情報提供しておりますし、さらには市町村ごとに、空き家の情報公開ということで、そういう空き家バンクというようなホームページ上で情報提供しているところで。どこに集中的に空き家があるかどうかというよりも、今のところは個別の空き家の情報の提供にとどまっているというようなところでございます。

◆百瀬智之 委員: その情報というのは、市町村と県と一体化してなされているということでいいですか。

◎岩田隆広 建築技監兼建築住宅課長: 県のホームページの状況でございますけれども、企画振興部がメインになりますけれども、信州の空き家バンクということで、県のホームページで一括して情報提供を行っているところでございます。

◆百瀬智之 委員: ありがとうございます。いずれにしても、これからもそういった情報基盤の整備というか、建築会社さん、あるいは不動産会社さんが情報を得られやすいような形をつくっていただきたいなと思っております。
 ということで、今回の資料で主に聞きたいことというのは実はもう終わりなんですけれども、この先はまちづくりという広い観点から進めてまいりたいと思っています。
 まず唐突なんですけれども、部長にお尋ねしたいと思います。部長は、この長野県内で、世界一のまちづくりしたいなと思っていらっしゃいますか。

◎油井均 建設部長: 世界一のまちづくりという御質問でございますが、長野県には長野県らしさがありまして、それぞれ歴史があって、それぞれの4つの谷にそれぞれの市や町が、その歴史の背景のもとに成り立っているという理解をしています。知事は世界一の山岳観光県ということを言っていますけれども、私ども建設部といたしましてはそれぞれの歴史を踏まえた、その個性的なその信州らしさを強みに出したまちづくりが、今後、必要になってくるんじゃないか、そんなふうに漠然と感じているところでございます。

◆百瀬智之 委員: ありがとうございます。もちろん信州らしさ、大変大事な観点だと思っていますが、ぜひ部長から世界一のまちづくりをうちは目指しているぞ、というお言葉をいただきたかったなと思っています。
 それで、前回の委員会の審査から夏の期間を経て、私も委員会の現地調査等々連れて行っていただいて、たくさんの先輩方からこの委員会でも意見が出たかなと思っています。
 個人的には、先日アメリカのポートランドというところへ行ってきました。ポートランドへなぜ行ったかというと、これは一般質問でも引用したんですけど、一般質問では文化・芸術という観点からお話しさせていただいたんです。実は、都市計画において世界一進んだまちづくりをしているということで、これはぜひ見ておきたいなという思いで行ってまいりました。きょうはそんな観点から、幾つかお話しさせていただきたいと思っています。
 このアメリカのポートランドという町は、今、人口60万人ぐらいで、結構大きくなってしまっているんです。聞いたところによると、50、60年前でしょうか、光化学スモッグで覆われていたり、町の中にはギャングメンバーがいたり、ドラッグディーラーがいたりということで治安もあまりよくない。これは何とかしなければいけないということで、公共交通を軸にしたまちづくりをしていこうということで進められてきたということであります。
 それに際しては、例えば町の中で高速道路が幾つか通っていて、高速道路沿いに川が通っているんですけど、この町にこんなに高速道路、町なかに要るのかなということで、当時の知事が川沿いに走っていた高速道路を撤去したんです。アメリカで初めて高速道路が撤去された例らしいんです。そこは、今、知事の名前がついたウォーターフロントパークになっているんです。
 あるいは、またこれも数十年前でありますけれども、ある市長さんが、町なかに駐車場があるんだけれども、こんな大型の駐車場が果たして町なかにふさわしいのかといって、市民の方といろいろ激論の末、ここは駐車場じゃなくて市民のための広場にしようということで、駐車場も取っ払って、広場で市民がさまざまな形で憩いの場として使えるようになったということです。私もその広場へ行ってみて驚いたのが、れんがの一つ一つに何とかさん何とかさんと、人の名前が書いてあるんです。もう私も鳥肌が立つくらいの景色だったんです。これは何かと思ったら、そのときに駐車場撤去にかかる費用を市民の方が寄附をして、それをれんがの一つ一つに名前を刻んでいったと。それで市民の統一感というのも出るし、この町はこうあるべきだというのが醸成されたというお話だったんですね。私もそれはすごいことだなと思いました。そういったこともありつつ、30年、40年の歩みを進めて、今、ポートランド、世界で一番住みたい都市と言われているようであります。
 まずポートランドというところは、私がたまたま関心を持っただけだったらいけないので、建設部としてどのような把握をしていて、認識でいるかということを一言、もし何かあればいただきたいと思います。

◎藤池弘 都市・まちづくり課長: 百瀬委員からポートランドのお話をいただきまして、建設部としてどのように把握されているかということでございます。
 ポートランドのこれまでの取り組みについては、今、日本のいろいろな都市計画における学会で大変注目をされているところでございます。さまざまな学会ですとか国の委員会とかでも事例としてよく出されるということで、私どもも、遅まきながら、その件の関係についていろいろ資料をいただいたりして、勉強しているところでございます。

◆百瀬智之 委員: ありがとうございます。ポートランドなんですけれども、ポートランド都市開発局というところがありまして、ここが実際にまちづくりをどんどんと進めている部署なんですけれども、我々行って、そこの山崎さんという方のお話をうかがってきました。山崎さんは今、ことしどうも独立されて、御自身でコンサルタント会社を立ち上げてやっていらっしゃるということだったんです。実際に動かされている方の話を、メモ書きをもとにお話しさせていただきたいかなと思っています。
 ポートランドにおいて、どういったことに気をつけてまちづくりを進めているかということなんですけれども、まず道空間と、緑地づくりに大変お金をかけているということでありました。道空間のあり方についても、条例化していくと。ここは県ですので、どこまで市と通底するかというのは難しい問題でありますけれども、少なくともポートランドでは、一つ一つきめ細やかに条例化していくと。
 例えば町を歩いていて、建物の壁面の、1階部分の40%以上はガラス張りにするようにしているということでありました。それも条例化していると。歩行者からすると、その店の中で何があるのかというのが、よりわかりやすいということだったんですね。店内の人からすれば、また当然、外も見やすいわけで、次にどこへ行こうかなとか、あるいはきょうの天気は、町の中はこうだ、次こうしようというような思いも生まれやすくなるということでありました。
 ポートランドはこの町が碁盤の目みたいになっているんで、一つのブロックになっているんですけれども、ブロックが割と小さくて、大人の足で大体ワンブロック1分ぐらい。ブロックごとに物を考えていくといいますか、ブロックごとで違うシーンを演出するということを考えているということでありました。ブロックの一つのところに、例えば料理店を集中させるんじゃなくて、2つ、3つのところに分散していくということをすると、町を歩いていくと1分ごとに違うシーンが頭の中に来る。料理のにおいが1分ごとに来る。あるいはおしゃれな洋服店を1分ごとに見られるとか。そうすることによって、歩きたい町というのをつくっていく。それも都市開発局の役割の一つでもあるということをおっしゃっていました。これもなるほどと思いましたし、私もそういう言葉があるんだなと思ったんですが、車道と歩道の間をファニッシングゾーンというと。ここにも注力してどうあるべきか、細かいところまで意識が行くように設計されているということでありましたし、街路樹一つ一つも、この建物からどうやればそこの街路樹に水が行くかとか、そういったことまで計算されているということでありました。
 その町の中で大切にしていることというのがこの社会的な流動性、人と人が交わることによってその地元民の方たちが楽しくもあるし、豊かになるし、お金も落ちるということで、日本で言う縁側という言葉は、向こうでも英語・アルファベットにしても縁側として通じて使っているということだったんですけれども。縁側という言葉をこの都市空間でも再現できないかと。ここはもう道路空間だから行政、こっちはもう民有地だから民有地で終わりじゃなくて、その間をどうやって取り持つかというのを一緒に考えていくという姿勢が大変大事だという観点からすると、今の松本市で、あんまり大きな声では言えないかもしれないですが、イオンモールさんとかは少し問題があるかなというようなこともおっしゃっていました。一つの敷地内で完結してしまうということは、大変よくなくて、その人たちが町へどうやって繰り出せるかということもあわせて考えるのが、企業としての役割でもないかなというようなこともおっしゃっていたのが、記憶に新しいことかなと思っています。
 すみません、長々と続けますけれども、もう一つ、前回もお話ししたことでありますけれども、地元の人が地元を楽しむための仕組みとして、その人と人がどう交われるか、交流できるかというのを大切にするには、建物のミクスド・ユースが大変大事だとおっしゃっておりました。例えば日本で商業ゾーンがあって、町なかに住居ゾーンがあって、オフィスゾーンとこう分かれていると、それぞれに、例えば商業ゾーンではお昼はあんまり人がいないとか、夕方とか週末は人がいるかもしれないけれども、住居ゾーンだと日中があんまり人がいないとか。そういうことがないように全て、例えば1階を商業テナント等にして、2階・3階・4階にオフィスを持ってきて、5階以上に住居ゾーンを設けるというようなことも条例化しているというお話がありました。そうすることによって、その地域は、24時間のかなりの多くの部分を人が出会える空間、人がいる空間にすることができるんだということでありました。
 今回行ってもう一つ、なるほどと思ったのが、その住居ゾーンなんですけれども、建物の中の10%程度は低所得者向けの部屋があるということだったんですね。これも条例化されていると。そうすると、昨今の議論にもなってくるんですけれども、公営住宅というのは、特に団地化したりすると、よくも悪くもいろいろな見方をされたりするわけなんですけれども、そういったことがないし、もちろん差額は市が補填する。家賃を支払うのは厳しいということで、そういったところに特別な価格で入れるわけなんですけれども、その補填分は行政が払うというような仕組みであります。そうすると、まちづくりの観点からもいいし、入居している方にとっても大変いい制度であるというようなことをお聞きして、ああなるほどと思って。私も、そもそも、まず日本の制度をよく知らないなというものを痛感してきたところであります。なので、今の話を日本でそもそも実現可能かどうかということをきょう聞こうと思っております。
 まず、先ほどのガラス40%以上の割合にするということは何かできるかなというような思いはしますが、できますか。

◎藤池弘 都市・まちづくり課長: 町におけるデザインコントロールのことについての御質問かと思っております。
 ただいま百瀬委員の御発言の中にもありましたけど、ポートランドでは市民の意見を取り入れてデザインをするプロセスと、きめ細やかなデザインガイドラインといったものが設けられているということでございます。この中では、特にポートランドにおいて、地域のちょっとしたことでもミーティングですとか、ワークショップということで市民の皆さんが参加いただきながら、その町のルールといったものを決めていくといった取り組みをこれまでされているということでございます。それに従って、いろいろな規制・誘導が行われているということでございます。
 一方、日本、また本県において、そういった取り組みが必要かということ、また可能かというお尋ねかと思います。都市計画制度においては、地区計画といったものがございます。これは都市計画区域内においてそれぞれの区域、特性にふさわしい様態を備えた良好な環境の街区を形成するものということになります。この中で、建築物に関する制限を定めるといったことができます。建築物の屋根、外壁、その他野外から見ることができる部分について、その形状、材料、色彩等を定めるといったことになります。
 しかしながら、この一義的に判断するというものが、許可の必要がありますことから、細やかなルールとして、例えば長野市の善光寺表参道では、表参道景観づくりガイドラインといったものを定めまして、目を引くようなショーウインドーですとか、室内がうかがえる窓・入り口を設ける推奨をしているというところも事例もございます。また、景観法とか景観条例に基づきまして、建築物の形態意匠の制限としてできる可能性はございます。
 1階の部分に、先ほどお話ししました、大きな屋根とかウインドーを設ける手法については、最近のリノベーションの事例でも主に用いられている手法ではございますが、これまで法的な規制手段ということではなく、我々としては官民連携でまちづくりを活性化する取り組みということで広めてきたところでございます。

◆百瀬智之 委員: いろいろ述べていただきましたが、結論としてはできる可能性があるということですね。はい、ありがとうございます。
 もう一つは街路の話なんですけれども、ファニッシングゾーンとか、緑地化とか、人々が歩きやすいものとか、今、街路で力を入れていることというのは何かあるんですか。

◎藤池弘 都市・まちづくり課長: 街路の関係でございますが、これまで車社会の中でやってきたもので、進めてきたわけでございますけど、これから人口減少社会、それから高齢化社会も進む中で我々も含めて日本国中で、コンパクトシティ・プラス・ネットワークといったものを掲げて施策を進めていくと。その中では、町なかについては、公共交通機関を使いながら歩いて楽しいにぎわいのある空間といったものを目指しているところでございます。
 そういった中でも、先ほど委員おっしゃったような、歩道空間の整備がこれまで以上に求められているところでございまして、先ほど言ったファニッシングゾーン等につきましても、例えば建物を建築する際には後退線をとっていただくとか、また、そのあいた空間を使いながらカフェを出していくといった取り組みもなされているところでございます。
 今、長野県内では、特に長野市さんですとか、松本市さんではそのような動きをされて、我々としても支援してまいりたいと考えているところでございます。

◆百瀬智之 委員: 最後、ミックスド・ユースの件はどうですかね。ミックスド・ユースの件と、あとその10%は、例えば低所得者向けの賃貸住宅にすべしというようなことはできるかというのを、もし教えていただければと思います。

◎藤池弘 都市・まちづくり課長: まずミックスド・ユースの件でございますけど、これについては既に国内でも取り組んでいるところはございます。
 先ほど委員おっしゃったように、町なかのにぎわいをなくす昼間人口と夜の人口の差をなくして、町のにぎわいを進めていくという取り組みの中で行われているところでございます。これにつきましては、先ほど述べました地区計画の中で、建築物等を制限する中で、表通り沿いといったものの1階部分の用途を、事務室ですとか店舗等に制限するということは可能でございます。
 この既成市街地の中では、建てかえ等に伴って極めて長時間を要するものでございますけど、この地区計画により整備の目標を明確にしまして住民の合意形成を図り、円滑なまちづくりの指針とするといったことができるということでございます。ただし、地区計画で建築物の構造ですとか形式等については、直接、規制はできないということになってございます。
 先ほど述べましたとおり、商業利用、住宅利用とか、その複合的な土地利用は、これまでの一部用途、工業専用地域ですとか低層住居専用地域といったものを除きまして、現行の都市計画制度の用途の中においても可能でございまして、先ほど述べましたとおり、多くの市街地で可能といったことになってございます。
 それともう一つ、低所得者向けの住居の一定割合を義務づけるといった制度でございます。個々の建築計画の中で、住居系の用途を定めるといった形のもの、混在するといったものは可能ではございますけど、そういった特別のものをやるといったものは、都市計画の制度の中では困難でございます。

◆百瀬智之 委員: ありがとうございます。最後に部長と技監からも一言ずついただきたいかなと思っています。
 今回、行って、主には都市開発局という機関が主導してそのようなまちづくりを進めているということでありました。これまではですけれども、大変積極的に再開発というものもやってきて、ここ大分、空き家が多くなってきたなというようなエリアを見つけて、そこを再開発しますということであれば、もうそこはかなり地価が上がるとか、ここは人気のエリアになるなということが見込まれるということでありました。
 その都市開発局なんですけれども、自前の資金で活動している、行政からも独立した機関であるということであります。ここを再開発しますよと言ったとき、その固定資産税の増税分を見込んで先行投資すると。先行投資でお金を入れて、そこで背負った債務等々は後々の収益、固定資産税の増額分から取り入れられるような仕組みができているということでありました。
 このまちづくりにおける経済の活性化とか、雇用の創出・拡大というものを計画的にやっているし、大事なことは住民の方から反発がないと。それは何回も市民の方と、プロトタイピングを何回もやっている。そこで住民の方から、こうしたい、ああしたいという意見を取り入れて、その役割もその都市開発局の役割であるということをお話し伺って、大分、日本とは違うのかなと。ここ開発しますと言ったら反対運動が起こるとかじゃなしに、どう言ったら建設的な方向で議論が進むかなということを常に考えていると、その手法もあるということで、なるほどと思った次第であります。
 日本でこういった機関、何かあるかなと思って山崎さんと話をしたんですけど、立ち話の中で、本当は開発公社がしっかりそういった役割も負えばいいんじゃないかなと思うけどねと、みたいなことをおっしゃっていて。今、開発公社もどうなっているのかなということもあわせて、今回の話の総括を部長にいただくのと。
 最後、技監ですけれども、今回、資料で空き家ということで要配慮者の話もありましたし、まちづくりという話もありました。国もそういったまちづくりの観点を取り入れて、こうやって空き家対策をしていこうよという向きがあるんじゃないかと、私は思っています。ただ、日本の目指す姿というのは、その法律によって実現されることではなくて、もっともっと先の、一つには目標はポートランドかもわかりませんけれども、もっと大きなまちづくりという目標があるんじゃないかと思って、今回の法律改正というのはその一部であるというような認識を持っているんですが、こういったあたりについても技監からお言葉をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

◎油井均 建設部長: まちづくりに関する総括的な御質問をいただきました。委員御指摘のとおり、人口減少社会の局面に入っていて、昔の20世紀型の大型の開発というのが時代にそぐわないようなところでございます。今、よく我々口にするのはエリアリノベーションということでございまして、エリアを区切って、既存のものを活用しながらリノベをして中心市街地の活性化を図っていこうというようなお話が全国各地でありまして、私どもの県でもこういったエリアリノベーション、進んでいるところが結構ございます。具体的に申し上げますと、善光寺の門前のまちづくりでは、既に空き家・空き店舗、50件ぐらいが、今、リノベーションされてよみがえっていますし、また松本市の中町、あるいは上土といったところでは、歴史的なものを最大限活用したリノベーションによるまちづくりというのがなされているわけでございます。
 そんな中で、一つは、公社的なお話という御質問があったんですが、今は、こういったまちづくりの会社的なものがそれぞれ立ち上がっておる例がございます。例えば山ノ内ですと「WAKUWAKUやまのうち」というものができているんですが、これは、地域経済活性化支援機構、REVICというところと、日本政府観光局、JNTOが結びついて出資をしていただいて、それをリノベーションして利益を出して回収するという経済の還流の仕組みが既にでき上がって、全国的にも注目を集めているところでございます。こういった資金調達方法は、最近になってかなり発展的にできておりまして、クラウドファンディングではなくてもALL信州観光活性化ファンドという形で既にできているところもあります。
 私どもこういったまちづくり、まさに、今、次の5か年計画に向けまして知事ともかなり熱い議論をしていまして、どうしたら昔のような中心市街地のにぎわいが戻ってこられるかということを、私ども真剣に考えていかなければいけないということでございます。
 今回、森林税でお願いをしている部分、町なかの森というものがあるんですね。これはまさに人がくつろげる空間であると。あるいは、既にこういったものは小諸市の駅前に停車場ガーデンという形で、実際に実現している例もございます。人だまりを町につくって人を呼び込むということですね。それから先ほど触れられていませんでしたが、道路法が改正されまして、道路空間であってもこういった店を出したり、人だまりの空間がつくれるということで、制度も改正をされてきているところでございます。
 今後、どんな動きがあるかわかりませんが、まずは人づくりが大事だと。これは民間主導でないとどうしても行政主導でやってもなかなかうまくいかない。人づくりを、今後、やっていくために、行政はその人づくりのための背中の後押しをしていくというのが、我々建設部の役目じゃないかと思います。産業労働部や、あるいは観光部とももちろん連携する部分があるんですが、その辺、今後のまちづくりを強力に進めていきたいと思っているところでございます。

◎長谷川朋弘 建設技監: 委員からお話しありました、国では確かにおっしゃるとおり、空き家対策と、それからまちづくりを一体的に連携しながら進めていくという方向で、各種いろいろな法律の改正が、今、なされていると理解をしています。住宅局と、それから都市局が一緒になってやっていると理解をしています。
 委員からもポートランドの例をいろいろ御紹介いただいて、私、不勉強で詳しいところはわからないところがありますけれども、確かに大きな理念を持ってまちづくりを進めていくということが重要であると思っています。これは数年でできる、完成するようなものではなくて、結局、20年、30年かけて徐々に徐々にまちづくりというのはやっていかなければいけないものですから、理念というのは大切だと思います。
 ただそれが、地域ごとにいろいろまちづくりの姿というのを、将来の姿というのを住民の方とも一緒に話し合いながら決めていく必要があるんだろうなと。それはまた地域ごとによって異なるんだろうなという感じは持っています。なので、最初に部長からありましたけれども、信州らしいまちづくりというのは一体何なのかというのを我々も真剣になって考えなければいけないですし、また、先ほど言った、例えば40%以上のガラス張りですとかそういった具体的な計画というのは、今、都市計画法上は市町村が担うということになっています。ということで、県と市町村が連携しながらまちづくりを進めていくということが重要かなと思っているところです。