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2017年11月定例会建設委員会

まちづくり

公園にコンセプトを

○議長(垣内基良 君)次に、百瀬智之議員。

      〔5番百瀬智之君登壇〕

◆5番(百瀬智之 君)信州まつもと空港について、取り組み方針の四つの柱に沿って伺います。まず、前半の二つの柱、国内路線の拡充と空港の国際化についてです。

 平成23年以降の訪日外国人数の伸びはとどまるところを知らず、ことしの訪日外国人数は、今月4日の時点で、過去最高だった昨年のそれを上回り、通年で3,000万人に届く勢いを見せています。その数たるや、五、六年前の3倍から5倍に上り、2020年の4,000万人、2030年の6,000万人という政府目標を考えると、インバウンド戦略のみならず、交通戦略についても不断の見直しが必要です。

 また、歩調を同じくして、昨年は松本市内に宿泊した外国人宿泊者数が延べ14万人を突破し、県内の市町村ではその数が最も多いこととなりました。軽井沢や白馬を抑えて初のトップとなり、外国人の流れが刻々と変わっている証左を県内でもかいま見ることができます。

 交通体系において陸の孤島になりつつあるのではとも言われる中信平にとっての朗報は、東京や名古屋ではなく、まさに松本地域を観光の目玉と考え始めている人が現実にふえ、その広がりが期待できる環境に向かっていることです。松本を拠点に、塩尻や木曽郡、あるいは安曇野や大北地域を訪れる人も確実にふえています。

 こうした状況に照らすと、外国への直接的なアプローチもさることながら、いわば黙っていても爆発的にふえ行く訪日外国人をいかにスムーズに中信平に連れてこられるか、そして、いかに広域的な地域戦略、観光戦略を促進できるかは、今や広域行政の喫緊の課題と言えます。

 そこで、まず、28年度6月の定例会で補正予算が組まれていた外国人旅行者の乗り継ぎ需要の調査分析事業の結果と、あわせて、成田、関空など国際ハブ空港との乗り継ぎ路線の検討についてどのような進捗か、企画振興部長にお聞かせ願います。

 さらに、羽田については、鉄道と競合する、あるいはいわゆる4時間の壁があることを理由に路線開拓が困難であると取り組み方針では位置づけられています。しかし、その反対動機の信憑性に加え、近年の羽田の著しい発着枠増加、特に国際線のそれは顕著で、また国際線ターミナルが拡張され、東京都心を低空で通過して離着陸する飛行ルートが話題を呼ぶ今般、成田とともに、羽田が文字どおり国際空港として今後ますます脚光を浴びるであろう中で、県がそもそもこのスタンスでよいのかは大きな疑問です。

 世界トップクラスの観光先進国の国内路線の充実ぶりを思えば、空港の立地適性や技術的な問題はあるにせよ、将来的な羽田線の運行も視野に入れて動くべきと考えますが、いかがか。企画振興部長に伺います。

 続いて、取り組み方針後半の柱、観光・賑わいの拠点としての活用と空港施設の機能等の強化に関連して、ターミナルビルと信州スカイパークについてそれぞれ1点伺います。

 フライトの件と比較して、実は大きな可能性を秘めているのがこの空港を拠点とした公園づくりであると私は思っています。というのは、フライトの件が余りに外的要因に左右されることと比較して、空港づくり、公園づくりに関しては、長野県が主導的役割を担えることに加え、以下のとおり時代の流れに合致した魅力的な政策を展開できるからです。

 本年6月15日、都市緑地法等の一部を改正する法律が施行されました。これまで、日本では必ずしも十分に活用されてこなかった公園などのオープンスペースにまちづくりの視点を入れ、公園という一つの施設内にありながら、建物は建物、歩道は歩道、緑地は緑地で、一見整然としていても、ともすればばらばらに機能していたものを、それがスタバなのか、TSUTAYAなのか、はたまた魅力ある地元のショップなのかはそれぞれでしょうが、公募選定を経た民間事業者がそれらを有機的に結びつけながら、収益事業とともに公園施設の設置、管理を行うことが可能になりました。県民は、商業ベースにのっとった、より質の高い空間と時間を享受できることとなります。

 蛇足ながら、前回の定例会で引き合いに出した世界一住みたい町と言われるポートランドでは、市の12.6%の面積を公園が占め、このような形態で、パートや季節労働者を含め、約3,000人の雇用が創出されているといいます。

 ここで大事な視点は、フライトの件ではインバウンド戦略を踏まえた施策を実施する必要がある一方、公園づくり、空港づくりに関しては、それとは一転、観光客ではなくて地元住民の潜在的ニーズが自治意識をいかに形にできるかが分水嶺ということです。というのも、さきの改正によれば、公園の活性化に関する協議会制度が創設され、多様なステークホルダーが参加し、にぎわい創出に向けたイベント開催など公園の活性化方策について協議することができるようになりました。

 例えば、先駆的な事例としての南池袋公園では、公園内のカフェレストラン事業者、商店会、町会、隣接地権者、学識経験者、行政メンバーなどから構成される「南池袋公園をよくする会」が公園管理に大切な役割を担っていて、カフェレストラン事業者は、区との協定に基づき、収益の一部を地域への還元費としてその「よくする会」に納入し、「よくする会」は、その資金を活用しながら、公園を拠点にしたイベントや地域活性化の活動、公園の美化活動などに努め、平日から全世代の公園ユーザーを呼び寄せているということです。

 そこで伺います。国際線ターミナルの整備が俎上にのせられている今般、空港施設は公園全体との調和において中核的な役割を果たします。私は、この際、現存ターミナルの建てかえとともになされるべきと考えますが、国際線ターミナルの検討状況はいかがか、企画振興部長に伺います。

 その上で、信州スカイパークは、再来年、全国都市緑化フェアのメーン会場となります。外向きには信州の魅力を発信する絶好の機会にしていただく一方、内向きには長野県の公園のあり方を見詰め直す絶好の機会にしていただきたい。というのは、そうはいってもフライトを利用する県民数が決して多くはない現実を考えると、空港とその周辺の公園施設が提供すべきサービスは、他県のそれにも増して重要で、飛行機が行き来する公園であるとか、高い山岳に囲まれた自然あふれる公園であるということは後づけでも必ずついてくる価値ですから、まずは公園自体を都市計画の観点から洗練されたものに再整備するプランに着手してほしいと思うわけです。

 昨日は、新たなコミュニティーをという話もありました。私は、公園というのは、本来、人々が相集い、それぞれが思い思いの空間と時間を過ごすこともあれば、偶然の出会いや定期的なコミュニケーションが交わされる社交場として大変重要な公共空間だと思っています。

 さきの法律改正により、行政と民間事業者、地元住民の三者共創によって、再びにぎわいの場として、そしてコミュニティーとしての魂を吹き込みやすくなりましたから、新たな自治の姿を模索する長野県として、21世紀型の公園づくりを信州スカイパークから初めてはいかがか。知事の見解を求め、私の一切の質問を終わります。ありがとうございました。

      〔企画振興部長小岩正貴君登壇〕

◎企画振興部長(小岩正貴 君):信州まつもと空港について、私には3点御質問いただきましたので、順次お答えをいたします。

 まず、乗り継ぎ需要の調査結果及び乗り継ぎ路線の検討状況についてでございます。

 この乗り継ぎ需要の調査は、本年1月に、来県している外国人旅行者に対しまして、長野駅及び松本城にてインタビュー方式でアンケートを実施したものでございます。合計で433名の方から回答を得られ、そのうち49%が乗り継ぎで国内路線を利用して長野県を訪れたいとの意向でございました。

 また、国土交通省が調査した訪日外国人流動データをもとにした分析でも、長野県を訪れた外国人のうち約3割の方が、日本の空港に到着後、最初の目的地として本県に直行をしております。こうしたことから、乗り継ぎ便の利用需要は少なからずあると捉えております。

 昨年6月に策定しました取り組み方針で明記したとおり、乗り継ぎ路線の利用拡大に向け、定期路線のある福岡や札幌経由のほか、関西国際空港などの新規路線につきまして、現在、航空会社の意見も聞きながら検討を続けているところでございます。

 次に、羽田路線開設への考え方についてでございます。

 議員も触れていただきましたとおり、国内の航空路線では、一般的に鉄路で4時間以内で到着できるエリアは飛行機の利用者確保は難しく、採算が厳しいと言われております。また、羽田空港は、いまだ国内有数の混雑空港であり、各航空会社に割り当てられる発着枠が限られております。このため、航空会社は、輸送効率の面で、需要の高い路線にできるだけ多くの乗客を輸送できる機材で運航することを優先していると聞いております。

 こうした中、松本―羽田路線につきましては、近距離の路線となること、また、輸送できる旅客数に限りがあることなどから、現状では他の路線に比べて開設へのハードルは高いものと捉えておりますが、将来的な視野には入れつつ、その環境の変化には常に注視してまいりたいと考えております。

 最後に、国際線ターミナルについてでございます。

 現在、国際チャーター便の運航時には、その都度、国の関係機関からの出張対応により、税関、出入国管理、検疫を実施していただいております。また、国内線利用者と混在しないよう、可動式の間仕切りを動かすなど、国際線利用者専用の動線を確保しております。

 空港の国際化は、取り組み方針の策定以降、国際チャーター便の誘致に向けて積極的に取り組みました結果、具体的な成果が少しずつ上がってきているものと認識をしております。

 引き続き、国際チャーター便の就航数をふやすため全力で誘致に取り組むとともに、これと並行して必要な空港施設の機能の確保について対応してまいります。

 以上でございます。

      〔知事阿部守一君登壇〕

◎知事(阿部守一 君)21世紀型の公園づくりを信州スカイパークから始めてはどうかという御質問でございます。

 行政が管理している財産のあり方は、今までは、どちらかというと縦割りの視点で、道路は道路、河川は河川、自然公園は自然公園という形で、管理、保全という側面ではよかったのですけれども、町のにぎわいづくりとか地域の活性化になかなか結びつけにくかったわけであります。しかし、先般も自然公園条例を改正させていただきましたように、これからは、さまざまな公共物において、いろいろな活用の視点をこれまで以上に持っていくということが大変重要だというふうに思っております。

 そうした観点で、この都市公園のあり方についても、これまでとは発想を変えていかなければいけないというのは私も同感でありますし、御指摘のとおりだというふうに思います。

 今、信州まつもと空港の発展・国際化に向けた取組方針に基づいて、空港と公園との一体的なにぎわい創出について、プロジェクトチームにより検討を進めているところでありますが、御指摘のとおり、平成31年には全国都市緑化フェアを開催します。空港と公園の一体的な利用を促すエントランスの整備等、基盤整備を進めていくわけでありますし、また、あわせて、御質問にありました都市緑地法の一部改正で、都市公園の再生、活性化、これも制度的に後押しをしていただく形ができたわけであります。

 そういう意味で、この信州スカイパークのあり方というものについては、私どもももう一回しっかりと見直しをしていかなければいけないというふうに思います。

 その視点としては、地域住民の目線はもちろんでありますが、やはり民間の力をどのように生かしていくかと。居心地のいい空間をつくっていくということになれば、やはりカフェとかレストランとか、そうしたものを民間の皆様方の視点や力を活用して考えていくということも私は大変重要だというふうに思っております。

 信州まつもと空港は日本一美しい空港、そして空に最も近い空港であります。この信州スカイパークについても、この空港と一体的に、観光、にぎわいの拠点となるように県としてしっかり取り組んでいきたいと考えております。

 以上です。