2022年9月定例会文教委員会
ひとづくり高校入試の果たす役割
◆百瀬智之 委員 私からは、昨日までは割と広く聞いていこうかなと思ったのですが、今回一つに絞ることにしました。というのは、大分出てきたというのもありますけれども、それ以上に私が何でこの委員会に入って何が言いたかったのかというのをシンプルにお伝えできれば一番いいかなと思いまして、今回、資料の4、高校入試、これを通じて学生、生徒の未来を語りたいと思っています。前回は、一般質問も使いながら高校再編を中心にお話をさせていただきました。若干最後尻切れとんぼみたいになったかと反省をしておりますが、その点も含めて今回フォローアップしながら、服部課長と内堀教育長とお話しさせていただければと思っています。この高校入試については、もう皆さんベテランの方々であるし、議員の皆さんもベテランである方はたくさんいらっしゃる中で、私、この委員会は初めてなんですよね。この高校入試がどういう流れの中にあって、今回の改革といいますか変更点を迎えているのかということを、まずおさらいとして御説明いただきたいと思います。私が高校生だったときからもう20年たって、大分変わってきたと。報道やら何やらで触れる情報も、前期と今度は後期になったんですよとか、それがこう変わってきたんですというような、いろいろな変遷があったと思うのですが、この20年間、20年というとかなりあるので、主な変更点で結構なので、その点をまずいただきたいと思います。
◎服部靖之 参事兼高校教育課長 この20年間の入学者選抜制度の変遷についてでございますが、百瀬委員が受験された頃は、前期選抜も後期選抜もなくて、後期選抜とか一般選抜のほかに校長推薦というのがあって、要するに自ら推薦を願うという校長先生が一筆書いたものという形で、大体その中学校と高校の信頼関係の中でというものがあったと思うのです。その後、志願者の多様な個性によって学校が選択できるようにという目的の下で、各高等学校や各学科の特色に応じた様々な入学者選抜の方法を検討するという議論の中で、平成16年度の入学者選抜から、前期選抜を導入したという経緯があります。それに併せて、通学区制度も4通学区制というところにだんだんに切り替わっていく状況があるわけです。新しい前期選抜を含めた様々な多様な個性をどう評価していくかということにおいては、まず一つ、普通科高校において、入学者選抜、これまで行ってきた校長推薦と異なって、推薦入試においては、学力検査以外の評価を行うということで、面接であったりとか、調査書は従来ですけれども、実技検査であったり、小論文AとかB、作文とか、様々アラカルトの方式があったと思うのです。その評価の尺度の多様化、これを求める声もあったわけで、その要望に応えながら、学力検査によらない前期選抜、これは自己選抜型の選抜でありますので、ある意味自由な出願ができる。こんな制度が前期選抜として導入されたということであります。前期選抜の合格者は、学校生活への意欲とか目的意識が高い生徒が多いということもありまして、実際に入ってから部活動にも積極的に参加する等々、そういった比較的評価をする声が追跡調査等であったわけです。一方で、前期選抜を導入して平成20年頃になってくると、ある程度の数の不合格者が出る状況がございまして、その数、例えば都市部の大規模な学校で前期選抜の募集枠が当時5%であったりとかすると、320人規模の学校においては、20人弱ぐらいのところへ100人を超える志願者がある状況になった場合に、前期選抜で大量の不合格者が出たりとか、その志願者が、結局リピーターで後期選抜も受けるという状況もある中で、受験機会の複数化ということはあるのですが、そういった実態を捉まえたときに、前期選抜での不合格者数の多さが指摘される中での改善が求められたということ。一方で、職業科等においては、比較的前期選抜で目的意識を持って意欲を持って入ってくる子供たちもいる中で、各学校からは、むしろ前期選抜の募集枠を50%からもっと広げてくれないかという話もあった状況で、平成21年度以降、ワーキンググループを開く中で、平成23年に入学者選抜における前期選抜の改善が図られました。この23年度選抜から、前期選抜を行う、行わないかについては、各校の判断に任せるという中で、現在、公立の普通科校16校ですが、前期選抜を取りやめるという形での入学選抜が、平成23年度から現在まで続いています。平成23年以降、4年から5年くらいだったと思いますけれども、前期選抜の改正によって学校現場がどういうことを感じているかについても追跡調査をしながら、前期選抜の課題についても向き合いながらやってきたわけです。現状はその後、受験機会の複数化もあって、比較的学校現場にもなじんでくる中で、指導の難しさは当然あったと思います。私も中学校にいましたけれども、中学生が前期選抜で落ちたりしたときに、その後の中学校の先生のフォローはかなり大変だったというのもあります。さらには、先ほども少し申し上げましたが、前期選抜に向けての期待感を持って頑張っている子たちが、学力検査不問という状況の中で、勉強に対してモチベーションをどう持続させるかとか様々な声は承りました。平成27年、28年ぐらいですか、高大接続という話が出る中で、当時、学びの改革基本構想といいましたけれども、高校改革の中で中学校と高校の入試制度の変更も位置づける中で、では、どのような入試にしていくかということであります。基本に据えたのは、学力の3要素を適切に評価する。適切にというのは、総合的とか多面的とか言っていますけれども、そういった入試にするにはどうしたらいいのかということで、入学者選抜等検討委員会を立ち上げて、そちらで議論して、平成29年に報告書が教育長に出された経緯があります。その中に、先ほどから出てきます前期選抜に学力検査を導入するとか、後期選抜に面接を入れるとか、さらに学校の独自入試とか様々なアイデアが出る中で検討を重ね、今日に至っていると、ざっくりとこんな感じでありますが、よろしくお願いします。
◆百瀬智之 委員 詳細にいただき、ありがとうございます。今お話しいただいたことを私なりに解釈いたしますと、オーソドックスなそれまでの、私が受けてきたまでの高校入試に、前期選抜という形で新しい串が入って、そこのところが導入したてであったので、いろいろなトライアル・アンド・エラーが必要だったということで、平成16年から始まったものが平成23年にも大きな変化があり、またそれ以降も高大接続やらいろいろな形でまだまだ道半ばであると受け止めております。今回の後期選抜への面接導入は、これまでの前期選抜の流れをさらに加速させるというか、今までのクラシカルな部分として、オーソドックスな部分として後期選抜というのを残していたと思うのですが、それではいかんなという問題意識がどこかにはあったということだと思いますし、それを今日、午前中お話しいただいたとも思っております。そこのところをもっと分かりやすく県民の皆さんにもお伝えしていくことが、非常に大事なのかなと思っています。というのは、今回の資料を見させていただいて、前回もそうだったとは思うのですが、この面接の在り方とは、ここだけじゃなくて、またどこかできっと大きな議論にもなるだろうと私は予想しているのです。まず、この紙上面接に注目が集まると思いますし、まず事実確認として、面接と紙上面接の関係性がまだ私もよく分かっていないところがありまして。一斉にこの紙上面接をやってもらうと、さらに面接をやるかどうかは、学校次第ということなのですか。この面接と紙上面接の関係性、これは学校の判断でやるのか、どういう感じになっているのかを、もう少しフォローアップいただければと思います。
◎服部靖之 参事兼高校教育課長 面接の導入についてですが、後期選抜については、従来のというか、現行もそうですけれども、確かに面接をやっているかやっていないかについては、これは各学校の判断で、対面面接でやっている学校もあればやっていない学校もあります。基本的には選抜の資料としては、選抜要綱にも載っておりますが学力検査です。500点満点の学力検査の合計点と評定です。中学校3年時の評定、1から5までの数値を9教科ですので45点満点という形で、これを縦軸、横軸に取った、そこに一人一人のデータをプロットしていく形の散布図を見ながら、単純にどこが上とか下とかという比較は二次元的なところでできませんけれども、そこにさらに面接評価とか、調査書の記載事項等々も加えながら選抜をしているところであります。先ほど、学力の3要素という話の中で、主体性をどう評価するかと問われたときに、この選抜の方法の中で、基本的には中学校の先生がきちんと子供たちの主体性を評価して、それが調査書等に如実に表れているということだろうと思います。ただ、一番欲しいのは、生徒本人が中学校生活の中で何を学び、何を考え、それを今後にどう生かしていこうかという、その直接情報がなかなか見られない。そこを確認したい。さらには不登校生等々のフリースクール等に通う子供たちの対応とかも様々ありますが、そういう子供たちの考えることについて、どんなふうにして拾えるのかなという議論がありました。不登校の生徒なので特別な選抜をしている都道府県もありますが、例えば多くやっているところは、不登校生に対して、生徒に自己申告書というのを書かせて、学校、中学校で厳読して、それを高校に出すとか。学校はそういうことを通じてやることだけでも、本人が本当に伝えたい気持ちがダイレクトに高校側に伝えられることになるのかなとかというときに、主体性とは何かというのは、中学校の先生が感じられているようなもので、数値化して、そんな物差しで見ることもできるでしょうけれども、そこに生徒自身の、自らを客観的に見たときにどんな成長があるか、これから何をしていきたいかという、そういった部分を確認する上で、全部の学校で面接を導入すると。これが検討委員会からの報告書にも書いてあることです。
面接をやるいうところで様々な評価の指標もいろいろ考えられたのですが、コロナ禍もあって、面接を導入する上で、どうしても規模の大きい学校で幾つも教室を用意して、そこに先生も張りつけてやるときに、教員の負担もある。万々一先生方がコロナとかになった場合も想定したときに、これはできなくなりましたで済むのかなと。子供たちが急な変更とか中止に翻弄されないようにと考えたときに、様々な経緯はありますが、さっき和田委員がおっしゃっていましたが、他県や東京の学校の様子を見ながらということで、子供たちに書かせたものをもって直接情報とし、まあ後づけなのですが、こういった方法もあるじゃないかと。コロナで別会場になったとしても、その紙を持っていけば、そこでも面接の代わりにできるんじゃないかと。副次的ではありますけれども、場面緘黙の子が、ふだんしゃべれないけれども書くこともできるじゃないかといった使用もできるのかなと考えて、紙上面接を考えたという経緯があります。
◆百瀬智之 委員 私の尋ね方がちょっと悪かったかもしれないのですが、要はこの紙上面接をもって、実際の対人面接を行わずして、これは面接を行ったという扱いにはなるわけですよね。そうしたときに、果たしてこれが本当に面接と言えるのかと。面接というのは、午前中も出たと思いますけれども、対面によってその人の人柄とか雰囲気とか学力検査でははかれないところを見るのが面接です。そういう前提に立つと、これは紙上面接とはいうけれども、これはただ意気込みを書いてもらっているだけなんじゃないかと。私が懸念するのは、これは偽りが横行するとどうなんだろうなと思っています。というのは、例えばこういうものが長野県入試でも必ず出ますと。それへの対策として、当予備校ではこうするのがいいと。全部きれいに書いていくと非常にうそっぽいので、ちょっと中1のときはこれに苦労しましたというようなことを書きましょうとか、それに向かって私はこう努力しましたよというような。私もどっちかというとちょっとずるいタイプなので、そういうことをきっと書くんだろうなと思うんですけれども。それでもこういう問題を出すんだと。そこのところの意味合いは何なんだというところをしっかり持っていただかないと、これは本当に絵に描いた餅になっちゃうんじゃないかなと思いますし、これは単体、紙上面接だけ見ると、私もなくてもいいようには思うのですが、でも、そうじゃないんだと。これは全体として見たときに非常に意義があるものなんだというのを、もっと言っていただく必要があるんじゃないかなという。というのは、先ほど来から服部課長は熱く語っていただいています。我々は、ああ、そうなんだなと。服部課長のそういう思いが籠もっているんだなと、この場にいる人は分かると思うのですが、こういう形で、今度、県の高校入試が変わりますよと発表したときに、一般の人、受験生の方、受験業界に関わる方、これは一体何なんだという反応もあると思うんですよ。そういったときに、セットでどういう発信をしていくかというのが非常に大事になってくるかなと思っていまして、また少し調べてきました。私たち、来月、広島県に県外視察に行くことになっているので、ちょうど広島県がいいかなと思って調べたら、まさにやっていたんです。ここでどういうメッセージの発信がされていたかというと、広島県も本当に高校入試の入学者選抜制度が変わる。それに当たって、パンフレットを出しますということで、分かりやすくパンフレットなんかを出して、どういうものを目指していますかということが書いてあったんです。広島県は、どうやら令和5年度入学者選抜から結構変わるということで、もうそちらでは常識の範囲になっているんですかね。一応説明、フォローアップさせていただくと、自己認識、自己開示、自己表現、自己実現、もうこれだと。広島県の教育長いわくということで書いてあります。広島県の教育長いわく15歳までに身につけておいてほしいのは、自己を認識し自分の人生を選択し表現することができる力だと考えましたとおっしゃっているんです。知識を身につけるとかじゃなくて、自分は何者であって何がしたいのかということを、15歳までに言えるようにしろと。極めてシンプルなメッセージは、私も結構すとんと落ちるんですよね。そういったことを、長野県としても、今回の入試改革を通じて15歳までに何を求めているのかをぜひ言っていただきたいし、これは広報の仕方として、あるいは教育長のメッセージとして、どういった在り方を考えているのかは伺っておきたいなと思うんです。まず、広報、これからになると思います。これもまだ案でありますし。ただ、服部課長の熱い思いだけでは、私も心配なところがありまして、ここは一言いただきたい。
◎服部靖之 参事兼高校教育課長 貴重な御提言をありがとうございました。非常に参考になりました。まさにおっしゃるとおりで、私どもがここから幾ら話していても、現場に通知を出し、周知、周知とは言っていますけれども、実際にダイレクトに伝わっているかどうかをつぶさに今、把握できていない状況であります。今日もこうした議論がある中で、本当に我々の思いが正しく正確に届いているかも含めて、情報発信の方法についても検討しなくちゃいけない中で、動画も、前回の三次の案を出したときよりももう少し中学校1年生に分かるようにというか、こちらのメッセージも届くように工夫をしようと思っていますし、あとは地区別の説明会等もやりながらこちらの思いが伝わるようにということです。実際に、その15歳に対するメッセージという、どういう言葉が響くのかなということについては、今、御教示いただきました広島県の様子等も見ながら、ただ、長野県がそっくり同じものをやるかというと、違いもありますので、過度の負担にならないという部分も一方で頭に入れながらですが、うまいメッセージを考えていきたいと思います。ありがとうございます。
◆百瀬智之 委員 内堀教育長、その点はどうでしょうか。長野県のこれから、また、新しい入試改革、あるいは入試に向かってくる今の小学生になるのでしょうか、そういった人たちに向かってこれから長野県の求める15歳というのはこういう像だよということを、あるいは15歳じゃなくてもお考えがあればいただきたいと思います。
◎内堀繁利 教育長 今、百瀬委員さんから、様々な御提案とか伺わせていただきました。高校入試に関わっては、先ほど服部課長からも説明申し上げましたけれども、面接というものの導入理由としては、自分の言葉で語ってほしいというのがあります。それが今は中学1年生ですけれども、中学生とか、それ以降は小学生になるわけですが、その保護者、あるいは小学校、中学校の先生方とか、そういった人たちに伝わるよう、これまでも、今、御指摘いただいたパンフレットを作成して説明がぶれないようにしたり、動画をアップしてその説明をしたりしてまいりました。そういったことについては、ここで要綱案を一回出させていただいたので、今後、改めてどんなメッセージが大事かなというようなことについても考えさせていただいて、我々の意図が伝わって、かつ御理解いただけるようにしていきたいとは考えているところです。広島県、平川教育長ですが、長野県の教育にも興味を持っていただいておりまして、こちらも見に来たいなんていう御希望もあるようですので、また会えるかどうか分かりませんが、もしお会いしたら直接聞いたりとかそういうこともしながら参考にさせていただき、またそれ以外にもいろんな工夫を行っている都道府県がありますので、長野県は長野県の考え方で、今回、案をお示しさせていただきますが、それについて御理解をいただける努力は必要だろうと思っているところありますので、そんな形でやっていきたいと考えているところです。
◆百瀬智之 委員 ありがとうございます。私のあくまで考えでありますけれども、今後は15歳までには自分が何になりたいかを言える。明確には必ずしも分かっていなくてもいいと思うんですよ。将来あんなことをやりたい、こんなことをやりたいということを外に向かって発信できる、それに向かって突き進んでいける、そういう15歳であってほしいし、それが18歳になったときに、長野県の18歳はもう一人前ですという状態をつくりたいんです。
ここでようやくこの高校再編の前回の話に接続してくるわけなんですが、こういうことをやりたいからといったその生徒に対して、思いっ切りのフィールドを用意してあげて、さらにその先に進学する人は、それで自分の意志で行っているのでと。ただ、地元に残る割合で見たときには、職業高校の人たちはかなり地元に残るし、ここで戦力としても働いてくれる、自己実現も図ってくれる。そういう人に対しては、本当に充実した高校教育をまっしぐらで提供していきたいと思って、前回は農業という話で出しましたし、農業じゃなくても商業でのお話も少し前半出ていましたけれども、いろいろ見直しはできると思うんです。私も商業科じゃないですけれども、情報処理であったり、あるいは簿記であったり。何か今までは、それこそトーク・アンド・チョークじゃないですが、先生の話を聞いているだけで何か将来につながるのかなと。資格を取ったほうがいいですよとかいろいろ言われるけれども、こういうものじゃないんじゃないかなみたいな、そういう生徒が多い中で、それを本当に実りあるものに変えていって、さらにその先に、これじゃ足りないからということで、いろいろな農業とか工業との組合せも本当はあるべきなんだろうとは思うのです。そこはたまたま長野県の場合は、今回の少子化に伴う再編という波がありますので、何か大外刈りとともえ投げを一気にやらなきゃいけないみたいな、こういうことになっています。でも、本当に子供たちがまずどういうことを望んでいるのかと、どういう子供たちであってほしいかというのは合致していないと、それこそいろんなメニューは並べましたけれども、これはあまり意味のないものになってしまいましたというような40年後、50年後であってはいけないと思うわけなので、そこもぜひお願いしたいなと思います。前回の話の中で、バックキャスティングで、そうしたときには18歳には立派な長野県民、一人前の、もちろん一人前といってもいろいろとまだ課題はあると思うし、やり直しの機会というのはたくさん提供されるべきであるとは思うんですが、一通り自分でいろいろやってこられたと自信を持って社会に出られる状態をつくってあげるという意味で、職業高校、しっかりやってほしいと思うし、バックキャスティングをこうやっていくということが重要なんじゃないかなと思うのです。確かに前回の話で、教育長と考え方、あまり変わらないかもとは思ったのですが、一つ違うとしたら、15歳においての自分をどう見つめるかというところ、もっと強烈に持ってもらえるようにしてほしいんです。これはあくまで私の要望としてお伝えをしておきたいと思います。若干話は長くなるのですが、職業高校の話はしましたけれども、普通科、進学校も、目的意識を持つことは非常に大事だと思います。今までの流れの中で、どんどんどんどんと何となく勉強ができるから、じゃ、進学校かと、普通科かと。確かに受けてみると、ピタゴラスの定理、非常に楽しいということになったけれども、その先に何か三角関数とか楕円方程式とか物理法則とか出てきて、これが一体将来何の役に立つのかが分からないまま、どこに自分も向かっていることが分からないという、そういう人も少なくなかったと思うんです。でも、これからはもっと自分の未来を強烈に意識してもらって、こういったことが自分の将来につながるのかと、あるいはつながらなくても、一般教養としてこれは楽しいなと、そういう目的意識でもいいと思うんです。そういう一つ一つの事柄にぼうっとしていないで、チコちゃんじゃないですけれども、しっかり一つ一つを丁寧に見てもらえるそういう生徒像、学校生活を送ってもらいたいと思っています。何で今回、私がそうやってバックキャスティングで、18歳で一人前の長野県民をつくるというところから出発しているのか、自分でも考えました。こういう思考の仕方というのは、どうも理系の思考らしいんですよ、結論から入るということで。自分は文系だなと思っていたのですが、どっちがいい、どっちが悪いじゃなくて。理系の人は割と結論から入って、文系思考の人は割と今ある状況からほかの人たちの感情とか背景とか考えて前に進む、フォアキャスティングで進むということなのです。いつから私、バックキャスティングの人間になったかなと思ったら、高校のときに担任の先生が数学の先生でして、そこでやった特に計算よりも証明の問題が非常に楽しかったんですよね。証明の問題は、答えを最初に提示してもらって、これはこうかな、ああかなと、いろいろやっていくという法則というか、そういう様々なトライが楽しくて今に至ったんだろうと思うんですが、それが今の服部課長であるということも、また数奇な運命であると私は思っていますけれども。したがって、服部課長に最後これをお尋ねしてまいりたいと思います。若干話がそれましたけれども、今回の入試において面接を入れるんだけれども、そして学力選抜も後期選抜で学力検査を今までどおりやるけれども、先ほど触れていただいた調査書、これは内申ですよね、これの在り方も少し考えていくべきということは正直思っています。内申の在り方というのは、どうもこれは各県で違うということで、例えば中学1年生、中学2年生、中学3年生、一対一対一でそれぞれ取っている県もあるらしいんですよ。どうも先ほどのお話だと、うちの県ではそうではないということですが、この長野県ではどうなっていますか。
◎服部靖之 参事兼高校教育課長 先ほどの話のとおり、実際に入学選抜において、基本的に学力検査と、あとは中学校3年時の評定ということであります。甲乙つけ難いような判定になった場合には、1年生や2年生の評定も見ることもなきにしもあらずという状況であります。
◆百瀬智之 委員 長野県では、主には中3を取るということでよかったなと言いますか、中1、中2のときに、例えば自分がそこではあまり頑張れなかったということが後々まで引っ張られると、それはちょっとかわいそうだなと思いますし、その時々のチャレンジが認められるような仕組みというのはいいんだろうと私は思っています。今の説明の上で、私もよく分からなかったことだったのですが、この学力検査と調査書の、さっきプロットとおっしゃられましたか。それというのは、これは学校ごとにどういう重心で取っていくというのは決まっているのですか。
◎服部靖之 参事兼高校教育課長 基本は、相関図と呼んでいますけれども、その散布図はベースにつくってありますけれども、そこから先の判定の仕方という部分については、各学校の裁量に任せている部分も当然あります。学校によって様々な事情の違いがあるという認識であります。
◆百瀬智之 委員 先ほどの話と同様に、この長野県の内申の取り方、調査書の取り方と、中3のところをメインに取っていきますよとか、あるいは逆に、出欠席の部分で不利に扱われることはありませんよとか、あるいは学校ごとに判断されることはありますというのは、これはこういうところに説明されているんでしょうけれども、もう少し分かりやすい形で、それも併せてできれば発信していただきたいかなと思います。どうも私が見ていて、何かこの辺が都市伝説的な感じで独り歩きしちゃう面もあります。私も塾で教えていたじゃないですか。それで、あそこの学校は偏差値がすごく、調査書がすごく取られるから、絶対に私には無理だよみたいな。そうだっけとか、そういうやり取りは結構現場であると思うんです。そういったところを明快に、ぜひしていただいて、分かりやすい、明快だというところでポイントを置いていただきたいと思います。最後になりますけれども、今後の重心です。内申と学力調査と、そして面接を入れていく。面接は、今は点数化しないけれども、これからはもう入れていくんだったらしっかり見ますよという姿勢も、私は持ってもらったほうがいいんじゃないかなと正直思っています。もしこれが駄目だったら引っ込めますという弱気なスタイルでは、高校入試改革につながっていかないと思うんです。これは強い気持ちを持ってもらって、これはぜひ成功させ、もっと未来に向かっての気持ちを酌んでいけるようなシステムを考えていきますということ。それをぜひお願いしたいと思います。これは絶対服部課長はやってくれると思います。というのは、覚えていますけれども、服部課長は高校のとき、野球をやっているときに、先生頑張れなんて言ったら、服部課長が任せろと、ベクトルと複素数平面を考えてやっているから大丈夫だなんて言って、それで本当にカコーンなんて打ってヒットだと、みんなでわーっとなった覚えがありますから、きっとこれは、いろいろなことを考えて実現していただけるんだと思っていますので、その辺をよろしくお願い申し上げて、私の質疑とさせていただきます。