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6月定例会一般質問(後編)

3.シンガポール駐在事務所の行方

続けてシンガポール駐在事務所の在り方を尋ねました。現在駐在員は、東南アジアはシンガポール駐在事務所が、インド、オセアニアを併せて管轄しています。しかしこの先に期待される役割の大きさと、その広大な管轄範囲に比して、現在の体制では心許ないと言わざるを得ません。そこでシンガポール駐在事務所の機能強化について産業労働部長に尋ね、以下の答弁を得ました。

【産業労働部長】

○シンガポール駐在員の担当業務は、経済・投資動向等に関する情報収集、企業への情報提供や相談対応、県産品の販路開拓支援、インバウンドの促進など。

○バイヤー等への聞き取りを行うマーケット調査では、例えば、日本産シャインマスカットと他国産との価格差を調べて県農政部に情報を提供し、効果的な販売戦略の立案に貢献するなど、県内事業者の海外販路開拓支援にあたって重要な役割を担っている。

○社会経済活動が再び活発化する中、例えば、リアル開催となったベトナムの大規模展示会に、長野県ブースを設置するなど、明るい兆しも見受けられる状況。

○こうした中、今後の展開としては、

①          他県事務所との協同企画(商談会・セミナー等)

②          長野県産業振興機構等との連携による食品バイヤー招聘

③          市町村(安曇野市・長野市)の海外経済交流への支援 など

を企画し、県内事業者や市町村を支援してまいる予定。

○更に、ジェトロやクレア、金融機関等とのネットワークを一層強化して駐在事務所の情報収集機能を充実するなど、成長著しい国々の活力をしっかりと本県に取り込むことができるよう取り組んでまいる。

4.貧困問題への挑戦

 最後に、より社会問題としての貧困に焦点をあて、教育的観点から長野県の施策充実を求めました。

今回、私が一般質問の主題に掲げたのは17あるSDGs目標の先頭に掲げられた「貧困をなくそう」です。徐々に浸透が進み、今や至る所で耳にするようになったSDGs。前身のミレニアム開発目標から変わらず、その中核目標は、貧困と飢餓の撲滅であり続けています。日本の貧困ももちろん目を離せませんが、世界のそれは当然さらに苛烈で、例えば極度の貧困状態、すなわち1日300円以下の生活水準で暮らしている人が世界には約7億人いて、そのうち約半数が子どもである、と言われています。

 10代の海外体験で目の当たりにした人身売買に衝撃を受け、NPOを立ち上げて国際貢献を果たしている若者がいる、というような事例をネットですぐ探し出せるように、県内では今年の春に途上国の農村部に行って井戸を掘ってきた、国際貢献してきた!という高校生の海外研修の話も耳にしました。世界においては自由や平等、公平公正はむしろレアケースであって、この世は強制や不平等に満ち満ちているんだと、厳しい現実を受け入れるところからグローバル人材としての第一歩が始まるのだとすれば、例えば佐賀県や茨城県などが本腰を入れて取り組んでいる中高生の海外研修・留学制度には見るものがあります。長野県はいまは国際教養科などであっても学校企画の海外研修は県補助なし、個人対象のつばさプロジェクトは専ら寄付金頼みという状況ですが、そこにはしっかりと財政的措置が講じられるべきです。この点について知事から、以下の答弁を得ました。

【知事】

自治体としての責任を遂行しながら若者たちの成長と地球規模の課題解決への努力を両立させるべきではないかというご質問であります。

 コロナで海外との交流連携が弱くなってしまったところがたくさんあるというふうに思ってます。気候変動をはじめ、世界の国や地域と協力連携して取り組むべき課題がたくさんあるというふうに思っていますし、グローバル化の動きも一本調子でグローバル化が進みづらい状況にはなっていますけれども、しかしながら社会の発展の中で相対的に国民国家の役割が信用低下してきているんじゃないかなというふうに思います。そういうことを考えたときに我々の地域がですね、世界の国や地域としっかり繋がっていくということが非常に重要だというふうに思ってます。

特に具体的に国際教養科の話とそれからつばさプロジェクトについて言及いただきました。国際教養科の海外研修、これ希望者が参加する任意のプログラムという位置づけになっているので、個人負担という形で整理をされているというふうになっています。ただ、私としては海外に関心を持つ多くの若い人たちがもっともっと海外経験を積んでもらうことが重要だというふうに思いますし、経済的な負担の問題でそうした夢の実現を阻まれてるというような状況があってはいけないというふうに思いますので、もう一つの信州つばさプロジェクトのあり方も含めて今後しっかり考えなきゃいけないと思ってます。

今回しあわせ信州創造プラン3.0の基本目標でいくつかの数値目標を掲げてますが、その中で高校生の海外への留学者率っていうのを星印をつけて主要目標にあえて掲げています。これ私としては先ほど申し上げたように、若い人たちがやはり世界に目を向けて、そして世界の皆さんと交流することが、結果的には長野県の発展にも繋がりますし、世界の平和にも資するものだというふうに思ってます。

今2%という目標を掲げて取り組んでいますので、まずこのつばさプロジェクトもしっかり発展をさせていきたいと思ってます。またプロジェクトスタート時にはクラウドファンディング、企業の寄付をまず前提にしておりましたけれども、その後財政的に安定させようということで、例年約10億円程度ふるさと信州寄付金を個別の使途指定ではなく頂戴しておりますので、そうした財源を充てて安定的な運営ができるようにというふうにしてきました。また今年度からはいわゆる「ガチなが」ということで返礼品なしの支援で、例えば先ほどの国際教養科の学校支援を寄付を受けるような仕組みも作りましたし、またこのつばさプロジェクトに対しても支援をいただくような仕組みを作ってます。まずはこれ教育委員会とも連携して、我々がもっとしっかりとアピールしなきゃいけないというふうに思っていますし、御指摘ありましたように、単に寄付していただく方の善意に頼るということではなくて、今の状況かなりこれは我々の政策として、この総合計画の中で主要目標として掲げている数値でありますので、その達成が確実になるように財源のあり方についてもしっかり検討していきたいというふうに考えております。

東南アジアに限ってみても、極度の貧困状態にある人は2021年時点で2400万人以上。さすがにそこまでは責任を負えない、手の出しようがない、と投げ出したくなりますが、右手で経済的パートナーとして握手を求めながら、左手は社会問題については手に負えないと、突き放すわけにはいきません。互いの経済発展を通じて貧困問題を打開するというアプローチに加えて、社会問題としての向き合い方が問われるいま、上記のような観点からも長野県のさらなる施策充実を求めて参ります。