MENU

NEWS / BLOG

大分県の森林・林業

○調査テーマ:大分県の森林・林業について 

 説明者:大分県農林水産部参事監兼林務管理課長 高村 秀樹 様

 大分県土の71.4%を占める森林は、木材をはじめ、しいたけ等の特用林産物の生産など、林業・木材産業の発展と山村の振興に寄与している。全国シェアは、林業産出額で4.7%(全国5位)となっており、特にスギの素材生産量(同3位)や製材品の出荷量4.9%(同5位)、乾しいたけ生産量37.8%(同1位)、マダケ生産量42.3%(同1位)は、全国有数の規模となっている。かかる「林業県」の土台はどうなっているか、簡潔に考察したい。

 まずは大分県の森林づくり。これには50年後の目指す森林のイメージを描きながら、明確な方針がとられていた。即ち、森林全体を俯瞰的に見て、木材生産を効率的に行える森林かどうかを判断した上で、木材等生産機能を重視する森林を「生産林」、公益的機能を重視する森林を「環境林」に区分し、目的に応じた森林へ誘導している。再造林率8割という目標を掲げているのは、残りの2割については生産林を環境林に戻していく意味合いが込められているという。課長さん曰く、「過去の取り組みを振り返ると、山の上など手が入りにくい場所は(既に植樹してしまったが)木を植えなくても良かったかも・・・というような反省が何箇所かある」。こうした緻密なゾーニングは長野県においても各市町村、各地域にまで落とし込まれたい。

同時にこれは、災害に強い森林を育むことにもつながる。平成24年及び29年に九州北部を襲った豪雨災害では、河川沿いの針葉樹の支持基盤が浸食され流木となり、大分県でも農地や道路等に甚大な被害が発生した。そのため、治山ダムの設置に加え、洪水時に下流へ流出する恐れのある河川沿いの針葉樹を伐採し、広葉樹へ誘導する施策を展開するなど、災害に強い森林づくりを推進しているという。

 林業就業者数についてはどうか。大分県でも新たな担い手の確保・育成は課題となっていて、都市部での就業相談会で情報を発信したり、「おおいた林業アカデミー」を支援するなど、就業しやすい環境を整備している。林業就業者の総数こそ横ばい傾向が続いているものの、新規就業者の数は近年伸びている傾向があることから、その成果は見て取れる。同時に高性能林業機械の導入や林道等の整備を進めてきた結果、木材の生産性は年々向上している。大分県の説明では主伐生産性、つまり林業者一人ひとりが如何に効率的に施業できるかを示す数値は年々上がっており、約15年前の2倍近い数値となっている。同じ時間をかけて、15年前の2倍の面積をいまは施業できるという算段だ。

また力強い素材生産の裏側には、木材の利活用の促進が欠かせない。大分県の令和4年の製材品出荷量は41.9万m3で全国5位と、日田市や佐伯市を中心に活発な製材品出荷が行われている。スギやヒノキなどの人工林資源が充実するにつれ、循環利用を促進するための需要拡大策が断続的にとられている。高品質な製材品の安定供給体制を確保するため、加工施設や乾燥施設の整備を進めるとともに、非住宅建築物の木造化、製材品の輸出にも積極的に取り組んでいるという。長野県においても、製材品出荷のあり方、とりわけ製材所の再興・再編成については検討の余地が大いにある。長野県が掲げる主伐・再造林の推進とセットで、主伐した木材の行き先を細やかに考えていかねばならない。