地域の生態系を守る
環境委員会では主に、エネルギー100%自立地域プロジェクトと生物多様性戦略について議論しました。後者はライフワークというか、この1年間欠かさず議題にしてきた委員会テーマでもあります。
先日、日経に「放流で魚が減る」という記事が出ていました。魚を川に放流することによって生態系のバランスが崩れ、かえって魚の数や種類を減らしてしまうのだそうです。
また色々と調べてみると、水草も同様のことが言えるようです。湖の水質浄化を信じてヨシやアサザなどの水草を湖岸に植えたものの、かえってアオコ被害がひどくなったり、植物遺骸や泥がたまり、ヘドロ臭を放つ現象が起こったり。
こういう記載をみると、生態系を壊すのは簡単だけれども、それを回復させることは至難の業だと、つくづく感じさせられます。日本の生態学はまだまだ発展途上らしいので、これから速度を上げて知見が積み重ねられることを期待します。
かつて長野県では、「脱ダム宣言」がお茶の間の話題となりました。確かにダムなど、川の流れを分断する人工構造物が生物の往来を寸断することは間違いありません。
ただ、当時は知事のキャラクターが際立ち過ぎたためか、それが過度に政局化してしまったのは残念なことでした。また、科学的知見が追いついてこなかったということもあったかもしれません。
しかしあれから20年余りが経って、冷静な議論ができる土壌ができてきているように感じます。ダム建設が地域の生態系にどのような影響を与えてきたか、あるいは河川に手を加えたことで生態系がどのように変わってきたのか。そんな検証を試験的に幾つかのエリアで進めるべきではないかと考えます。
本来的にはダムの要否の判断はその先にあるべきで、生態系負荷を上回る社会的便益が優先されて建設されるならば、その生態系負荷も合わせて地域住民に説明されるべきことでした。
魚釣りの人がお馴染みの川や湖で感じる小さな異変。里山に住む人が何気なく感じる、山や森への異変。こうしたものを敏感に把握し、持続可能な地域社会を育みたいものです。